江夏豊の超野球学

江夏投手の野球論。

キャンプでは、毎年3,000球を投げ込む。そのうち、2,500球は、ひたすらアウトローに直球を投げ込むそうだ。

キャンプ中、審判が練習のためにブルペンに来る。江夏投手は、アウトローのコントロールが決まる頃になるまで、決して審判を立たせなかったそうだ。

カラダが出来上がり、アウトローに決まる頃に、審判を立たす。正確にアウトローに決まるので、審判が「江夏のアウトローはストライク」だという意識になる。

すると、そのシーズン、江夏はコントロールがいいというイメージが残り、アウトローの球がストライクになりやすい。

そんな計算までしてたらしい。(2015年MLBからホークスに移籍した松坂が、キャンプ2日目にもう審判を立たせていた。)

これは、落合博満氏も、自分は外角に強いと思われていたが、実は真ん中をセンター方面に狙っていたに過ぎない。しかし、自分がライト方面にホームランやヒットを打つと、スコアラーは、たとえそのボールが真ん中であっても、外角寄りと記録してしまう。

その結果、落合は外角に強いというデータばかりが相手ピッチャーに伝わる。自分はその逆をつけばいいのだ。

というようなことを書いていた。

田淵幸一さん

「あまりの球威にミットが弾かれてしまう。すると江夏は、生意気にも「ミットを動かすな。ストライクでも審判がボールと判断するだろう」と言う。「俺の方が年上なのに」と腸が煮えくり返っていましたが、(中略)そこで、その夜から鉄アレイでせっせと左腕を鍛えた」

文芸春秋 2014年4月号 同世代六人「団塊にも言わせてほしい」

同期が百二十人いた法政一高野球部  pp.318-320