カテゴリー別アーカイブ: 評論・批評

自由と秩序 – 猪木武徳

図書館にて

連続性について

戦後ドイツは、合意の政治という意味でワイマールとのつながりがある。企業経営の労使協議など。

日本社会にも連続性がある。岸信介・鳩山一郎などの公職復帰。

シュレーダー政権のコソボ空爆参加。海外に軍隊派遣。

中公叢書

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<盗作>の文学史

図書館で借りる。

盗作 の事例がたくさん掲載され、また盗作にまつわる資料もものすごい量が載っている。

「まァ一流文学は外国文学を”下敷き”にして二流文学は”盗む”というところだ」大藪春彦の盗作騒動に対する三島由紀夫のコメント(p.167)

この本の小見出しは、そのまま創造とはなにか?を考えるときの問題提起になっている。

とにかく面白かった。

 

 

恨の国・韓国

思った以上に面白かった。とくに韓国の「ハン」と日本の「和」の対比。

述べられてることを咀嚼すると、韓国では理想を追求する感覚が強すぎるために、現実への悲嘆が大きく、理想への推進力が激情として湧き出る。日本の和はもっと現実妥協的。理想はあるが現実的な落としどころをつける。
つまり、日本は落としどころの状態が現実、韓国は常に理想を追い求めている状態が現実なんだろうか。
韓国=激するというイメージの理解に役立った。

「「何をすべきか」を問われた規律主義から「何でもできる」と言い聞かせる楽天主義への移行は、人間の欲望主義も無制限に容認し、「こうすればより幸せになれる」「こうすればより幸せになれる」「こうすれば、より利益を追求することができる」という成果主義の考えを無批判的に受け入れることになります。」(p.72)

「韓国社会で「世界化」や「無限競争社会」などという言葉が流行し、国の指導者でさえも「国のセールスマン」になることを自負していたのが1990年代初めの金泳三大統領の時のことでした」(p.72)

ハンプリ:「ハンプリを果たす」「ついに、やったね。ハンプリ」

ハンとは、「ひとつであると同時に全てである」

「韓国におけるハンが「理想追求型」の概念であるならば、日本における和というのは、極めて「現実追求型」の概念である」(p.19)

「完璧な結合体を追求し続けるがゆえに、現実の世界でそれが達成されないことを問題視し、批判し、嘆き、悲しみながらも・・・」(p.20)

「事大という言葉は単独で成立するのではなく、常に「慈小」つまり小さな国をどう扱うかという問題と表裏の関係にあります」(p.138)

「つまり、事大主義は棲み分けの戦略であり、秩序でもあったのです。」(p.144)

著)金慶珠
祥伝社新書

 

テロルと映画 スペクタクルとしての暴力

六本木青山ブックセンターの新刊コーナーで見つけて購入した。

かなり面白い。紹介されている映画が見たくなる。そういう本はいい本だ。

しかし、この本で紹介されている映画はhuluにもu-nextにもない。TSUTAYA DISCUSでレンタルがあったが、何回も見たかったので、レンタル落ちの安いDVDを購入することにした。

とりあえず、アマゾンで「パラダイス・ナウ」と、ヤフオクで「夜よ、こんにちは」を購入。

「自由と解放の神話を希求する者が、にもかかわらず不可視の物語の枠組みの内側にいるという恐るべき逆理を、ベロッキオはここで提示している。」

パラダイス・ナウは、ちょっと呆気なかった。

著)四方田犬彦

日本のいちばん長い日

ポツダム宣言受託の議論から終戦の玉音放送に至る内閣、宮城、軍で起きていた出来事を時間軸に整理し、同時進行で再現した。

グイグイ引き込まれる。また、国家の方針を決断するドキュメントで、戦争の悲惨さなどを詳述しているわけではないので、それほど暗い気持ちにはならない。むしろ、何千万国民、そして世界相手に、自分個人の意見を述べなければならない、その重さがこの本を読み進むうちに感じられ、襟を正す気持ちになる。

鈴木貫太郎首相

阿南陸相の自刃。

畑中、椎崎中佐の叛乱と、対応に苦慮する

陸軍に比べ、米内海相など海軍の動向はあまり表記はない。

千葉駅前と銀座にある塚本総業ビルの創業者が、出てきた。田中軍司令官の副官塚本清大尉。

著)半藤一利

映画も見た。岡本喜八監督版。阿南陸相役は三船敏郎。
畑中中佐役が黒沢年男。凄い演技。井田中佐は高橋悦史。天本英世、伊藤雄之助などなど。狂気的な演技。何言ってるのか聞き取れない。仁義なき戦いを思い出した。

みんな痩せててギラギラしてる感じはもういまの俳優では出せないんだろう。

 

 

日本の歴史 24 ファシズムへの道

ワイマル共和国」について先月読んだが、それと同じ時代の日本の歴史を学ぶのにこの本を読んでみた。この本も長い間、本棚に眠っていた。

金解禁からの金融恐慌から満州事変、2.26事変、さらにエログロナンセンスにいたるまで多岐な領域が書かれているが、とても読みやすく、面白い。

ファシズムは国家独占資本主義であり、前時代の旧中産階級の厚みがあって出現する、そうだ。

著)大内 力

中公文庫

沈みゆく大国アメリカ

米国人の友達は、風邪になったらオレンジジュースを飲んで治す。ドラッグストアの棚にメラトニンが売っている。

国民皆保険でない米国の状況は少し知ってるけど、もうちょっと知りたくなって読んでみた。第一弾と、第二弾副題<逃げ切れ!日本の治療>の2冊。

オバマの選挙のとき、ヒラリー・クリントンが「病気の人が医者に行けない。そんな国になってしまったんですよ。この国は」って演説してたのを覚えてる。

でも、この本によると、そんなオバマケアが状況を悪化させているらしい。医師はペーパーワークに疲れ、中所得層は病気になっても病院に行けないまま。

儲かったのは保険会社だけという。

地域住民と会費制の診療ネットワークを立ち上げている医師もいるそうだ。

なんか日本医師会を持ち上げてるのが唐突感があった。

著)堤未果

集英社文庫

春宵十話

光文社文庫版が本棚にあったので読んでみた。

昔、一葉舟とか読んだことがある。

知性に制約のない自主性を与えたのはギリシャだけ。ゆえに科学が発達した。知性は理性と同一でなく、理想を含む。

理想は真善美であって、芥川龍之介はそれを「悠久なるものの影」と表現した。

このくにの善行は、少しも打算も入らない行為。物質主義とは違う。

いま大学に入ってくる男性は機械文明ばかり興味をもっている。

これからは機械にできないことを目指せと思う。

テレビ、雑誌、映画の影響が大きい。スポーツ、シネマ、セックスの3つのSがいけない。

学問は頭でなく情緒でする。副交感神経が優位なときは論文が捗る。

著)岡潔

1963年毎日新聞社刊

詩とことば

ことばの持つ力について書かれた。これはとてもいい本だ。

詩と散文の違い。

詩は、そのことばで表現した人が、たしかに存在する。でも散文はひとりも存在しないこともある。「白い屋根の家が」の順序で知覚した人が、どこにもいないこともある。(p.44)

しっかり「見る」人が少なくなったからではないか。眼を見開いてしっかり見る。それをおろそかにするとけものになる。(p.84)

詩が書き出される前のことを利用する。呼吸をそこからも、もらいうける。谷川雁について。(p.115)

著)荒川洋治
岩波現代文庫