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先日、幕張メッセで開催されたCEATECというイベントに参加してきました。展示の中心だった家電製品が減り、人工知能やスマートホーム、電気自動車といったIoTの展示が増えました。トークセッションのテーマも人工知能やVRなどにシフトしていました。そのなかから、面白かった話をお伝えしたいと思います。

まず、機械学習などを提供するアメリカのDataRobot社の方が、データ利用の制度設計の重要性について話をしていました。機械学習を取り入れたい企業の多くは、「なにをやりたいか?」が明確でなく「とりあえずデータはたくさんあるから、なにか未知の法則が見つかるだろう」というフワっとした状態でプロジェクトを始めてしまうそうです。そんなプロジェクトを進めると、必要なデータほど保存されていないとのこと。システム設計などと同じですが、人工知能がなんでも解決してくれるのはまだ先のようです。

次に、アメリカのVizuxというスマートグラスなどを作っている企業のトークセッション。スマートグラスとは、AR(Augumented Reality、拡張現実)機能を持ったメガネのこと。たとえば、スマートグラスをかけて野球観戦をすると、選手の打率や防御率、球速などのデータが選手の頭上に表示されたり、パーティーに行けば、目の前の人の名前や役職、いつ会ったか?といった情報がその人の横にポップアップされるでしょう。

なんだか、もの凄く近未来な感じですが、このスマートグラスとスマートフォンは、同じ部品で作られているのだそうです。スマートグラスとスマートフォンの違いは、スクリーンがあるかないか。つまり、スマートグラスが流行るとなったら、誰もが量産可能であり、すぐに市場が急速に立ち上がります。

ただ、ポイントは、スマートグラスでなにをするかです。現在、スマートグラスの利用法は、組み立て工場向けなどに使われています。組み立てラインのマニュアルなどを映し出し、ミスを無くすのに役立っています。こうした法人向けだけでなく、広く一般の人にも使ってもらうには?ニュースを流す、地図を表示するなどなど。部品がスマートフォンと同じように、コンテンツを似たものになるのでしょうか。この辺は、冒頭の機械学習の話と似ています。結局、機械や技術が進歩しても、なにをするかがその技術が広まるかどうかに影響します。

イギリスのFuturesource社という調査会社が、2016年の家電市場は、前年から4%増え、6710億ドル(73.8兆円)になったと発表していました。そのなかでスマートフォン関連は50%。スマートフォンはその誕生からまだ10年しか経っていません。かつて家電の王様だったテレビは14%。テレビ市場で大きいシェアを占めていた日本メーカーは、スマートフォン市場にうまく移行できませんでした。その代わり、台頭したのが、アップルやサムスン、そして中国メーカーです。

スマートフォンとスマートグラスが、同じ部品であれば、スマートグラス市場が急速に拡大しても、現状のスマートフォンメーカーはそれほど打撃を受けないかもしれません。先日、とある投資会社の方と話していたら、中国メーカーはマーケティングを重視し、市場ニーズに合った製品を作る指向を持っているそうです。その分、職人的なモノ作りには興味がない。ちょっと意外な話でした。ともあれ、スマートグラスが普通になる時代になったら、こうした中国メーカーが世界を席巻しているかもしれませんね。

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