中国のインターネット人口は、7億人。携帯通信会社の中国移動(チャイナモバイル)の利用者だけで、9億人もいる。街中には、キャリアだけでなく、OPPOなどスマートフォンメーカーの綺麗なショップが並んでいる。
2018年3月末で、チャイナモバイルの4G契約者数は6.7億人。4Gであれば、動画コンテンツも問題なく視聴できるだろう。アジアの通信会社は、顧客単価(ARPU)を向上させるために、動画配信に力を入れている。シンガポールのSingtelは米国ワーナー、ソニーと「HOOQ」という動画配信プラットフォームを展開、同社が出資するアジア各国のキャリアに導入している。香港の通信会社PCCWも「Viu」というプラットフォームを構築している。
中国では動画配信市場は、BATと呼ばれる3社(Baidu, Alibaba, Tencent)が動画配信市場のTOP3を占める。彼らのビジネスモデルは、広告モデルと有料課金型サービスの両方である。
そして、注目すべきは、次世代のプラットフォームとして、スマホに特化した縦型で短尺動画を配信するサービスが勃興している点である。たとえば、「今日頭条(Toutiao)」というニュースメディアを運営するバイトダンス社が展開する動画サービス”TikTok”は、1日のアクティブユーザーが1000万人を超え、1日の動画再生数が1億回を超えているという。音楽に合わせてダンスをする様子をアップロードするTiktokおようなアプリは、ほかにもMusical.lyなど複数ある。TikTokもMusical.lyも中国発のアプリである。中国はスマートフォンの製造だけでなく、こうした動画アプリでも世界を席巻し始めている。
こうした中国発アプリや動画配信サービスの動向を知ろうと、先日上海に行った時に、現地の人にネット動画を利用しているか聞いてみた。投資会社に勤める20代の彼女は、Baidu傘下の動画配信サービス「iQiyi」を利用していた。月額7元の利用料を負担しているが、面白いドラマや映画などがあり、彼女にとって、7元の利用料は全く高くないという。Tiktok(中国でDouyinと呼ばれる。彼女はTiktokという名前は知らなかった)も利用していた。また、彼女の実感として、上海に比べ東京は物価が安くていいという。
iQiyiは今年3月にNASDAQに上場し、1600億円を調達した。彼らは2015年にコンテンツ予算の70%を他社制作の購入に利用したが、2017年は購入予算とオリジナル制作予算が50%ずつとなった。Netflixは2016年に6000億円だったコンテンツ予算を8000億円に増やしている。
上海の彼女のメディア体験のように、ネット動画市場では、米国と中国で勝ち残ったプレイヤーが巨額予算で、オリジナル制作を行っているいっぽうで、スマートフォンで撮影した短尺動画を気軽にアップロード、シェアするプラットフォームが共存している。そして、次の競合は、こうしたネット動画配信プラットフォームと巨大化する米国ハリウッド会社との攻防になるだろう。

