ハリウッドで起業した! 宜野座一葵

ロックメディア 宜野座一葵インタビュー

■ コンテンツ・ベンチャー・インタビュー、今回は、ハリウッドで活躍する宜野座一葵さん。
■ 沖縄県立開邦高 ⇒ バンタン映画専門学校 ⇒ カリフォルニア州立大学ノースリッジ校メディア学科 ⇒ ディスコチェリー設立。Facebook ⇒ Ikki Ginoza  チバレよぉ~。

■ 下から見ていた打ち上げ花火 映画ビジネスの道

志村   こんにちはー。毎回ありがとう!お世話になります。

一葵   いえいえ。

志村   前から、このコンテンツ・ベンチャーって枠で一葵君の活動を紹介したかったんだよぉ。

一葵   ありがとうございます。

志村   アメリカ来て、学校出て、そのまま会社興しちゃったんだよね。

一葵   そうなんですよ。

志村   でーじぃすごいよねぇ。

一葵   いえいえ。普通の会社に勤めたことが無いので、ビジネスの常識が無くて、苦労することもあります。

志村   まぁ、まず出身から聞きたいんだけど、沖縄のどこだっけ?

一葵   浦添市です。

志村   あの甲子園ベスト4の?浦添商業?

一葵   僕は開邦高校ですが。

志村   高校時代はなにを?

一葵   サッカーです!中学で始めたんですけど、本気(マジ)でプロ目指してました。無理とわかってからは、高校でサッカー教える先生になろうかなぁ、なんて。まぁ今でもプレーしますよ。 

志村   ほうー。映画は???

一葵   映画も小さい頃から好きでした。親父が映画好きだったので、よく連れられて映画見に行ってたんですよ。

志村   地元の?

一葵   そうですね。浦添には映画館がないので、那覇によく行ってました。

志村   やっぱりハリウッド映画とかをよく見るの?

一葵   小さい頃はそうでしたけど、高校時代は邦画ばかり見てました。

志村   へぇー。誰か好きな監督とかいるんですか?

一葵   岩井俊二監督の作品が大好きでした。ラブレターとかスワロウテイルとか。

志村   おぉ。イエンタウン。

一葵   それで、映画監督になりたくて、東京に出てきたんです。

志村   格好いいじゃん。

一葵   渋谷のバンタンという映画の専門学校(バンタン映画映像学院)に入ったんですよ。

志村   ほー。バンタンって、ファッションじゃない?

一葵   映画学科もあるんです。僕が3期生なんですが。

志村   えぇー、映画を撮ってたんだ?

一葵   そうですね・・・ 撮影して酷評されたり。

志村   どこかにフィルム残ってる?

一葵   あると思います!

志村   それで、そこを卒業してアメリカの大学に入ったわけ?

一葵   バンタンは途中で辞めてるんです。3年制なんですけど、3年になる前に、アメリカの学校を受けて、来ちゃいました。

志村   行動力あるねぇ。なにかきっかけがあったんですか?

一葵   アメリカン・フィルム・マーケット (American Film Market, AFM)という映画を売り買いするマーケットがロサンゼルスであって、見に行ったんですよ。

志村   おぉ。アメリカで初めて会ったときやってたよねぇ。デジタル・ハリウッドの1週間後に同じロウズホテルでやるんだよね。

一葵   来てみて、『あっ、映画の撮影だけでなく配給、マーケティングというビジネスもあるんだ!』って思って。それで、アメリカで映画の勉強したいと思って、来ちゃったんです。

カリフォルニア・ドリーミン’アメリカで学ぶ映画ビジネス

志村   最初からロサンゼルスですか?

一葵   最初は、サクラメントにあるカレッジに通ってました。その後ロサンゼルスにあるカリフォルニア州立大学ノースリッジ校に編入しました。

志村   カルステートってやつね。

一葵   そーです。そこに、Cinema & Television Artsという学科があって、メディアマネージメントを専攻していました。ハリウッドのビジネス部分を教えてくれるんです。4年間、ひたすら図書館に籠って勉強してました。あん まり遊んだ記憶がないですね〜。

志村   わかるなぁ。教科書ブ厚いし、授業前の予習が命なんだよ。

一葵   そうなんです。最初は、会話について行けなかったですねー。無視されたり、子供扱いされたり・・・。屈辱ですよ〜(笑)いい年した男が2、3才くらいの子供の気分を味わされるのは(笑)

志村   あるよね〜。

一葵   やつらは、悪気なく差別しますから(笑) でも、彼らも人を見定めないといけないんですよ。ロサンゼルスは人種の坩堝なんで、言語、宗教とか、皆が同じ考え、行動をするわけじゃないんです。

志村   アメリカの映画学科は、やっぱり役に立つの?

一葵   そうですね。映画にビジネス論があるっていうのが新鮮でした。あとハリウッドのギルド(組合)の仕組みとかも。そういう習慣とか、映画関連の契約に関することとか、法律とか、こちらでしか学べない教科は役立ちました。

志村   へー。ハリウッドってギルドの影響力が強いんだよね。

一葵 仕事は、ギルドに入らなくてもできちゃうんですよ。でも、ギャラの支払いが遅れたり、減額されたり、個人でやってると、リスクは自分に降りかかるじゃないですか。その点、ギルドのメンバーになるのはメリットが大きいです。ギャラとか労働時間とか決められていて、発注側にボッたくられる心配がないですから。ただ、ギルドのメンバーになるには、それなりのキャリアを積まないといけないんですよね。

志村   へぇー。オモシロイねぇ。

一葵   テレビ局とか、ハリウッド・スタジオの人が講義に来てくれたりもするんで、そういうのは面白かったです。

志村   インターンもしてたっけ?

一葵   そうですね。4年間で4社しました。学校で教わることより、実地で学んだことのほうが多かったですね。ただ、学校がインターン先を探してくれたりするんです。

志村   どんな会社ですか?

一葵   インデペンデントの制作会社とか配給会社です。仕事は、ムチャブりばかりでしたけど、それが今となっては良かったんだと思います。

志村   苦労してますなぁ。

一葵   起業できたのも、そのインターン先の人脈のおかげですから。

■  ハリウッド起業!

志村   名前がディスコ・チェリー!最初、2人で会社やってたよね?

一葵   そうですね。僕がビジネス面、もう一人が映像制作などのクリエイティブ面を担当してました。

志村   いまは、一人だっけ?大変じゃない?

一葵   2年間いろいろあって、会社的には、配給とか映像ビジネスの仕事に集中することにしました。

志村   そうかぁ。一人でも大丈夫なの?

一葵   こっちの仕事は基本的に個人ベースなんです。プロジェクトで必要なパートに、その専門の人を呼ぶという。だから一人でも専門性を磨けば、まったく仕事に困ることはないですよ。

志村   そういうところいいよねぇ。専門性というパーツをパスルみたいに組み合わせてゴールに向かうっていう。

一葵   分担がはっきりしててとても仕事しやすいです。メジャー・スタジオも契約ベースの雇用ですから。業績悪いとスグ解雇になるのが困るんですけど・・・

志村   どんなビジネスをしてるんですか?

一葵   日本映画をアメリカやヨーロッパの映画祭に出品するお手伝いをしています。映画祭の申込手続き、宣伝素材、翻訳などをワンストップで提供しています。日本映画って、アメリカよりヨーロッパのほうが強いんですよね。

志村   それが、一葵クンの専門性なわけね。結構、仕事はあるんですか?

一葵   おかげ様で、なんとか・・・

志村   最近、ネット展開もするって言ってたけど。

一葵   映画祭出品.comというドメインを取りまして、一般の人が個人で映画祭に出品できるサイトをオープン したいと思ってます。

志村   なるほど。横展開だね。

一葵   この事業を軸に付随してくるサービスを展開させて行く予定ですが、フットワーク軽くいきたいと 思ってます。

志村   最近、ビジネスの動きは早いから。

一葵   ビジネスの方向性って2つあると思うんですよね。ひとつのことをコツコツやるのと、時代の波に乗るのと。今は、アイデア勝負で、波を乗り換えて生きていこうと考えています。

■  頑張る若者を応援するアメリカビジネス事情

志村   アメリカでずっと暮らすの?

一葵   アメリカに根を張りたいですね。細く長くビジネスできるよう、キャッシュフローが続くことを一番に考えています。

志村   偉いねぇ。アメリカはビジネスしやすいですか?

一葵   僕みたいな若い人にとっては、起業しやすい環境だと思います。

志村   へー、どんなところが?

一葵   頑張ってる人を応援してくれる、っていう文化があるんですよ。『そうかお前がそこまで頑張るなら応援するよ』って人が多いです。

志村   日本だと若い起業家をバカにするよね。

一葵   こちらでは、見ず知らずの僕みたいな若者でも、とりあえず話は聞いてくれますね。目上の人でも僕みたいな若い者の立場まで降りてきて話を聞いてくれますね。目線が対等というか。そのうえで、僕のアイデアが役立つかどうか、判断がくだされる感じです。日本にも営業に行くことがあるんですが、話を聞いてくれる前に、門前払が多いです。

志村   確かに、知らない人からメール来ても返事しないかも。自分もアメリカで名刺交換だけした人にメールすることがあるけど、なにかしらアクションくれるよ。

一葵   まぁ結局、自分に役立つかどうかの基準は厳しいですけどね。

志村   英語力は重要ですか?ネイティブじゃない悲しさは感じます?

一葵  英語力は、どこまでいってもネイティブには並べないと思います。とりあえず自信分野でアピールするしかないですね。アメリカ人って、英語があまりうまくなくても一生懸命だったり、面白い事には素直に興味を示すんですよね。子供みたいに。だからアメリカ好きなんです。

志村   へぇー。

一葵   まぁ、それでも、言葉、人種の壁はあると思いますけど。法律、契約も細かい個所はわからないこともあります。

志村   なかなか超えられない壁だね。

一葵   ただ、その辺は対処法があります。アメリカ人は結構外見で判断するので、プレゼンテーションには気を使っています。服装だったり、先方に見せるものとか渡すものは特に。

志村   わかるなー。

一葵   プレゼン能力は必須です。アメリカ人は自分の経歴、成果をちゃんと自己アピールしますね。誰かに言わせて評判を高めるっていうのではなくて、自らの業績を自分で普通に話します。

志村   日本だとちょっとアピりがウザいな、みたいな感じ。

一葵   こっちでは普通です。僕もここは自己主張したほうがいいというポイントでは、しっかりアピールしますよ。最近そのポイントをやっと感覚的に掴めてきたんですけどね。

志村   そうかぁ。成長してるなぁ。

一葵   あと、アメリカでは、商売広げるのにオフの部分も大切なんですよね。そこで、僕は自分のウリを決めてます。

志村   ほう。なんですか?

一葵   ビジネスでのプレゼン、パーティーやレセプションなどの社交の場、あとはサッカーかなぁ。ビジネスプレゼンはロジカルな部分と、エモショーナルな部分と両方で心を揺さぶりますよぉ。

志村   ひょー。でもさ、サッカーとか盛り上がんの?

一葵   いえ、全然(笑) でも、自分サッカーしかできん男スから・・・

志村   あー、はい。

一葵   アメリカ人は、アメフト、ホッケー、バスケット、ベースボールだけがスポーツだと思ってますから(笑) 

志村   4大スポーツね。

一葵   サッカーはアメリカだと、女性のスポーツなんすよ。マイナー。ロスはメキシカンが多いので、それでもまだやる人いますけどね。いつもプレーする仲間も、マイノリティーばかり(笑)。

志村   へぇー。

一葵   でも、こっちにいるヒスパニックの人はレイカーズ(バスケ)も好きなんすよねぇ。

志村   ステープルズ・センターだっけ。連れっててくれた。LA Live。ヒスパニックの人多かったねぇ。

一葵   そーですね。あそこ、ボクがアメリカ来て、初めて泊まったホテルがあるんすよ。6年前(2003年渡米)。そのときはなーんにもなかったんですけどねぇ。突然変わりましたね・・ 

志村   すごい奇麗だよねぇ。KATSUYA(セレブなお寿司屋さん)もあるし。

一葵   カツヤさんは、ビジネスマンですよ。同郷だし、会えないかなぁ。

志村   6年は感慨深いねぇ。

一葵   あそこの隣がコンベンションセンターなんです。そこの電光版ウェルカム・ボードは、日本語表示ないんです。中国語と韓国語はあるのに・・・

志村   あちゃー。そういう時代?ジャパンは、プレゼンスなく消えていく。

一葵   ボクもヤバいすかね。

志村   いや、大丈夫しょ。でも、取材してても、”Are you interested in Japanse market?”って会話が成立しないもんなぁ。

一葵   ひょぉー。それに比べて、コリアンの人たちって、たくましいですよ。寿司屋流行ってたら、いち早くスシを取り入れますし。日本人は絶対コリアンBBQの店やらないけど、コリアンがやってる寿司屋はたくさんあります。でもハングルは絶対忘れないっていう。リトルTOKYOも、コリアンの人が土地持ってるって話ですよ。

志村   すごいよねぇ。

一葵   まぁ、でもそれを受け入れるアメリカ人もスゴいですよ。懐深いというか。

志村   そうだねぇ。この前の、タイ人オーナーが、プレスリーを唄うタイ飯の店とか。オモシロいよねぇ。

一葵   エルビスですね。

志村     そう。あれって、白人のオジさんが北島三郎を唄うハンバーガーの店を歌舞伎町で開くってのと同じシチュエーションだよね。

一葵    そうですね・・

志村   まぁ、あんまり他人に興味ないから懐深く見えるのかもね。琴線に触れると怖い。ハワイとか行くといまだにちょっと怖い。でも、基本的にアメリカ人は、アメリカ以外に興味ないし。

一葵   ないですね。そのうちTOYOTAもアメリカの会社とか言いだしますよ(笑)

■ まだ地デジ移行してないんですよ

 

志村   そういや、iPhone使ってるね?

一葵   使ってますよー。

志村   iPhoneって、なんでウケてるの?

一葵   アメリカの場合、今まで格好いいケータイがなかったんですね。日本とは全然違うんです。アメリカ人にとってパソコンと同じことができるってのがいいみたいです。

志村   他にもある?

一葵   あと、やっぱりiPhoneでネットとインタラクティブになれるのは大きいでしょうね。彼らは何か発信するのが好きなんです。

志村   日本との違いはあるの?

一葵   そうですね〜、オンラインだけのつながりでなく、実際会ったり、何かを一緒にするためのツールという位置だと思います。

志村   なんか、ツイッターとかFacebook始めてるし。去年までMySpaceしか知らんかったろ?

一葵   でへ。

志村   そういや、地デジも見てないんでしょ? (ロックメディア:米国地デジ移行について参照)

一葵   古いテレビのままです。アンテナで。でもまだ映りますよ。

志村   貴重な存在だねぇ。文献調査だけじゃわからんよ。

一葵   あはは。僕はマイノリティーですから。でも一通りの情報はネットで集まります。

志村   3Dはどう?映画界がデジタル行く動きみたいのは感じますか?(ロックメディア:3D参照

一葵   それは間違いないと思います。メインストリームになるかはわかりませんが。12月に公開され るジェームス・キャメロン監督の「アバター」は楽しみです。

志村   あれで、一気に広まるかな?

一葵   映画業界は、2極化されてます。メジャースタジオは3D当然って感じですが、インデペンデント系はインターネットとかデジタルに向かう感じはしないです。みんな頭でわかってますけどね。

志村   やっぱりシリコンバレーとハリウッドには壁がある?

一葵   うーん。どうでしょう。やっぱりメジャーとインデペンデントでは事情が違いますね。Huluの社長は元アマゾンの社員だし、メジャースタジオは、アップルの話がよくでるけど。。。インデペンデントの人たちはあんまり関心ないかなぁ・・・

志村   なるほどねー。実際はそんな感覚なんだねぇ。今度、そういう現場レポートやらない。

一葵   いいですねぇ。

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