カヌー・ベンチャーズ、ケーブルテレビとIPとの狭間で悩む

ロックメディア 広告論争:カヌーベンチャーズとグーグル

[セッションメモ]

・ 理論的に広告形態の変化と説くグーグルShah氏と、現実の課題を述べるカヌー・ベンチャーズSchlichting氏とで、議論がかみ合っていなかった
・ ネット上の動画広告は、低予算クリエイティブでも、消費者に受け入れられる(サーチ&サーチ)
・ グーグルには広告マッチング市場を促進する考えがある。一方、広告内容をコントロールできなくなる不安がメディア側にある。

Digital Hollywood Fall 2009, サンタモニカ 2009年10月20日 3時50分-

カヌー・ベンチャーズ  現在、コンテンツ・ウィンドウ(映像流通の順番。参照)は、ケーブルテレビ業界にとって、好ましい状態だ。

–  ケーブルテレビもソーシャルメディア(Facebookなど)もコンテンツをキーにコミュニティを構築していることに変わりはない。

–  現在のコンテンツ市場の状態は、消費者はインターネットで番組を見ていて、コンテンツ・ホルダー、ケーブル業界は、ケーブルでコンテンツを流通している。

–  ケーブルの先に消費者はいないし、消費者はコンテンツホルダーが流している映像を見ているわけではない。   

–  両者をどうやって、交差、結びつけるかが課題だ。

–  それは、広告業界にとっても重要な課題だ。

–  VODへの広告手法はどうなるのか?

–  インターネットの動画配信は、ビジネス・チャンスだと思う。広告が効果あるものになるよう、ネットのプラットフォームも進化しないといけない。

–  既存のテレビ番組の広告枠の営業コストの高さを、メディア業界の人たちは気づいていて、ネット広告に対し、脅威を感じている。

–  テレビの広告枠にアド・エクスチェンジ手法が入ってくると、広告のクリエイティブをコントロールできないし、非常に困ったことになる

グーグル  今でも賢いマーケッターたちは、何に価値を置くべきか(お金を払うべきか)に気づいているハズだ。

–  今後5年間で、既存の手法での広告はどんどん減少するだろう。そもそも、消費者は大量の広告を見たくない。

–  インタラクティブなコミュニケーションツールへ、お金が流入するだろう。

カヌー・ベンチャーズ 理論的にはわかる。しかし、現実は、なにか急激にあなたが言っているようにはならないだろう。

グーグル  しかし、結局は消費者が選ぶだろう。ニーズの無いところに市場は無い。
いつになるかはわからないが、消費者のニーズを実現するツール、メディアが出現すると思う。

–  クリエイティブ、サービスがよくないと、ブランドを生かすことにならない。

–  マーケッターは、DVRで広告飛ばしがどれだけ起きているのか、考えてみるべきだ。消費者とコンテンツの関係性、自分の好きなコンテンツだったら、それが広告であろうと飛ばすことはないだろう。

–  広告クライアントの広告出稿の目的を理解しないと、いくらデータを収集、分析しても意味がない。

サーチ&サーチ  テレビCMの製作費は高い。オンライン動画は、それほど高いクオリティは必要とされていない。広告素材も、そんなにお金をかける必要がない。そのことに、広告クライアント、代理店は気付くべきだ。

- オンラインでは、クオリティよりも、作品の影響力のほうが重要である。代理店の仕事は、広告メッセージをインターネット上で広めるかにある。テレビ時代でもメッセージを広めるという目的は一緒かもしれないが、インターネットとテレビでは行動様式が違うことに気付くべき。

- インターネットでは、テレビよりも広告ビジネスの提案が簡単になっている。データもあるし、消費者の反応も直接拾える。広告代理店は、デジタル時代になって、ビジネスしやすくなっている。

カヌー・ベンチャーズ  デジタル系の人たちが、データ分析に偏ったビジネスをしているが、我々既存メディアのDNAとは隔たりがある。 今まで、紙媒体やテレビの広告枠を売っていた広告代理店の人間が、デジタル商材に慣れるまでには時間がかかる。

[参考]

 カヌー・ベンチャーズ (Canoe Ventures) : 米国の大手ケーブルテレビが出資設立したケーブルテレビの広告ビジネスを行う会社。ケーブルテレビの広告収入は、ここ10年間視聴料収入が伸びてきたのに比べ、あまり伸びていない。一方、STB(セット・トップ・ボックス)を利用して、ターゲティング広告ビジネスへの参入に意欲を見せている。⇒のがこのカヌー・ベンチャーズ。しかし、いまのところ上手く行ってるとは思えない。

 米国のケーブルテレビ広告収入推移 NTSC SNL Kagen調べデータを元に作成
・ ケーブルチャンネル広告収入とは、CNN、MTVなどケーブルテレビで見られるテレビ局の広告収入のこと
・ ローカル・スポット収入が、ケーブルテレビ・オペレーター(コムキャストなど)が受け取るエリア広告収入
・ ケーブルテレビ・オペレーターに入る広告収入の伸びの少なさが、カヌー・ベンチャーズ設立の動機になっていると思われる

米国ケーブルテレビ市場推移(広告収入)

 ケーブルテレビ視聴料収入(下図)  NTSC SNL Kagen調べデータ

米国ケーブルテレビ市場推移(視聴料収入)

パネラープロフィール

グーグルShah氏とカヌー・ベンチャーズSchlichtings氏とのやりとり

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