■ メディアブランド、電子メディア、どんな衝撃、意味?
ザルツバーガー コンテンツは、広告、有料、デジタル、アナログに変換可能な質の高さを維持したい。デジタルへの移行スピードは加速している。ユーザーは、コンテンツをどうやって発見するかがキーポイントになっている。
ジャネット 動きはとても早い。ブランドへの信頼性がデジタルの世界でも一般的になっている。他サービスとの差別化がカギである。ニューヨークタイムスは、歴史がある。紙で築いたブランドは、ウェブフォーマットにも移行可能だ。
■ ウェブ世界は、ジャーナリズムというより、コンテンツの世界だ。デジタル世界で、アナログ時代の質をいかに保とうとしてるのか?
ジャネット デジタルのインタフェースはリッチなものにしたい。ニューヨークタイムスは、1994年からウェブに投資している。
■ デジタルにポジティブなのは、なぜか??
ザルツバーガー デジタル、アナログという対立軸は、単に流通手段の問題だからだ。19世紀、新聞は死滅すると言われていた。そのときの競争相手は、電報だった。新しいテクノロジーの出現で、既存メディアが死滅すると言われるはよくあることだ。質の高いジャーナリズム、質の高い読者、広告を提供できれば、プラットフォームは維持できる。iPad、アップルは重要なパートナー。コンテンツはオープンに提供していく。
■ 今回の不況の影響はなんだろうか?
ジャネット 消費者の行動が変わり、広告主も出稿に慎重になってしまった。消費者は、情報、サービスをシェアすることが普通になってしまった。よりクリエイティブにならないと、メッセージが届かない。企業の意思決定、行動はよりスピードを求められる。
■ 長期的にみて、広告市場の減少はない?
ジャネット 広告の将来については、市場にまかせるべきだろう。。需要と供給がバランス取って成長するのが望ましい。インターネット広告は、効果測定が明確だ。効果がおいとなれば、回復も早いだろう。
■ 不況の間に、自社の差別化を図る?
ジャネット 不況下でも投資を続けている。ジャーナリスムを守るために、流通などのコスト削減を断行している。一方、デジタル投資は続ける。なぜ、もっと早くデジタルに投資できなかったのか?既存ビジネスがうまくいっている間は、新しいこことに投資できなかった。ビジネスサイドと編集サイドのコミュニケーション、融合が必要だ。
■ 電子有料版について
ザルツバーガー 2011年の早いうちにデジタル有料版をスタートする。有料版、広告モデルは、あらゆる調査をした。サブスクリプション、メーター制など。デジタル有料版は、紙購読者からは新たな課金はしない。デジタル版は、ソーシャルメディアへのチャレンジでもある。
ジャネット もし、有料版がうまくいかなかったら・・・色々な課金方法を試しているので、次善の課金方法を追求するだろう。
ザルツバーガー 顧客との直接関係は、必要不可欠だ。
ジャネット アップルから顧客データをシェアできるかどうかは、交渉中。コメントできない。
ザルツバーガー 紙のロイヤルカスタマーは増えている。
ジャネット 新たなデバイスには、新たな広告モデルが必要だろう。
■ デジタルからの収益
ジャネット 全体の14%がデジタルからの売上。デジタル版への広告は、営業してる結果というより、広告主からのオファーが多い。
■ グーグルの検索、著作権問題について
ザルツバーガー インターネットには、フェアユースと泥棒の2種類がいる。グーグルはいいパートナーだ。
■ なぜ、R&D投資を続けるのか?
ジャネット 正直に打ち明ければ、なにか新たな発見が起こったとき、知らなかったとは言いたくなかったから。紙に関するイノベーションには強かったが、デジタル技術には蓄積がなかった。
■ 買収など、出資構造の影響
ザルツバーガー ニューヨークタイムズは、2種類の株を発行している。議決権が制限されているものと、優先株だ。現在の主要株主の比率は15%くらい。
2010.03.11 Thu. New York, Media Summit New York 2010
Janet L. Robinson, President and Chief Executive Officer, The New York Times Company
Arthur O. Sulzberger, Jr., Chairman, The New York Times Company & Publisher, The New York Times
Interview by: James E. Ellis, Assistant Managing Editor, Bloomberg BusinessWeek
参考