Huluのビジネスモデル ⇒ 見逃し視聴ニーズにフォーカス – Digital Hollywood Fall 2008 –

・デバイスによるビジネスの切り分けは、無意味。重要なのは、コンテンツ
・CGMでも充分広告ビジネスモデルは成立する

Digital Hollywood Fall 2008– Jason Glickman(CEO, Tremor Media)
– Federico Grosso(SVP, Business Development, Blinkx)
– Erick Hachenburg(CEO, Metacafe
Kent Steffen(VP, Content Direct CSG
– JP Colano(SVP, Advertising, Hulu.com)
– Dave Toole(CEO, MediaMobz)
– Matt Kaplan(Chief Strategy Officer, PermissionTV
– Daniel Harris(CEO, MEDIAPASS Network)
2008.10.27 Santa Monica

Q1) Huluの状況について聞かせて欲しい

Hulu  Huluは、見逃し視聴用途が多い。TivoなどDVR市場が、まだ小規模なため、Huluのポジショニングが成立している。見逃し視聴は、ロングテールなドラマほどニーズがある。コンテンツ・アグリゲーションがHuluのミッションだ。他局のドラマも検索表示している。
当社調査では、79%の人が、タダでみたいと思っている。11%の人は、コンテンツがよければお金を払ってもいいと思っている。お金を払ってもいいという人は2%しかいない。海賊版が横行しているのも、明らかに、無料でみたいというニーズがあるからだ。Huluの無料モデルはうまくいっている。

Digital Hollywood Fall 2008Q2) 動画広告のコンテンツについて

Metacafe  動画配信サイトというのは、YouTubeと同じで、コミュニティが大事だ。ユーザーがお金を払うのは、ハリウッドのコンテンツだが、広告クライアントは、コンテンツではなくて、メディアにお金を払う。だから、コミュニティのような人が集まる仕組みが重要だ。

Blinkx  テレビは視聴者数で広告料金が決まる。細分化されるオンライン広告では割りにあわない。

Metacafe  広告というのは、ユーザをあるカテゴリでくくったものに対して出すものだろう。オンラインコミュニティを利用すればよい。

Blinkx  広告クライアントはまだ、UGCに懐疑的である。オーバーレイなど、テレビと違う広告挿入方法が必要。

PermissionTV  広告クライアントが懐疑的なのは、あまりにフリーでオープンすぎるからだ。だから我々は、許諾を取ったコンテンツだけの動画環境を提供している。

Metacafe  ロングテールは関係ない。Huluの視聴者は、テレビよりも少ないし、広告出稿も少ないだろう。クライアントは、ある時間に何百万人という人にリーチしたいので広告を出したいのだ。コンテンツよりもコミュニティが大事だ。

Q3) プリロールの広告のほうが、クライアントにとって安全なのか?

Metacafe  感覚的に、動画広告の10~15%はプリロール。Metacafeも、プリロールは5~10%に増えている。

Q4) 広告クライアントのニーズというのは、実際どうなのか?

Hulu  広告クライアントというのは、安全な環境を求めるので、動画配信でも、プレミアム・コンテンツに出稿する。(動画: Huluのビジネス戦略について語るColano氏)

Q5) Huluを見ている人と、テレビを見る人は一緒なのではないか?

Metacafe  デバイスの違いは重要ではない。重要なのは、視聴者の興味、嗜好性だ。広告ビジネスは、CPMモデルで成り立っているからだ。視聴性向も、モバイルでもテレビでも、寄りかかってみる(lean back)視聴だ。

Q6) 広告指標について

Blinkx  CPMのレートが下がっている。広告主がいないからだ。

PermissionTV  今はCPMではなく、CPA(アクション)だ。カーディーラーなどは、購買によって料金が決まっている。

Blinkx  ブランドされたコンテンツというのは、CPAで図るのは危険だ。CPAが低いから番組クオリティが低いというような議論になる可能性がある。
CSG  ダブルクリックから広告クライアントの紹介を受けている。

Q7)人力で動画にタグを入れる以外に、ソリューションはないのか?

Metacafe  短尺はテクノロジーを使ってタグ付けしているが、長尺は今のところ難しい。

Digital Hollywood Fall 2008Q8)テレビは後傾30度の視聴行動で、それに見合った基準で広告ビジネスが回っていて、これは今後どうなるのか?

Hulu  全体の20%くらいは、今後5年でオンラインでみるようになる。視聴行動は変わっている。

PermissionTV  広告主は、自分で適切な広告メディアを見つけるべきではないか。オンライン上にはたくさん情報があふれているのだから。

MediaMobz  ローカル広告が有望だ。

Metacafe  プロフェッショナル・コンテンツは、広告の仕組みが出来上がっていて、シンプルだから好まれている。オンラインTVも真似するべきだ。

Q9) 今後半年の課題は何か?

Hulu  iPhoneなどで、フラッシュがみられないこと。

CSG  シンジケーションを強化し、ペイ市場を広げたい。

PermissionTV  コンテンツ制作で、インタラクティブ性をもっと効果的にしたい。

MediaMobz  ラジオやマイクロ・コンテンツ、ローカル市場を重視したい。

■参考 Hulu Jason Kilar CEO 基調講演 Huluのビジネス戦略を語る NAB 2008

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