・ テレビドラマも格差社会。一部のヒット作がお金を稼ぐ
・ 失われたテレビ広告はもう戻ってこない
・ デジタルダラーにはなっているが、テレビ広告減少分を埋めることはない
・ テレビ視聴率低下の原因はDVRだ。インターネットではない
Marc Graboff, Chairman, NBC Entertainment and Universal Media Studios (マーク・グラボフ、NBCユニバーサル、チェアマン)
聞き手:Julia Boorstin, CNBC
2009年10月21日 12時-
サンタ・モニカ Digital Hollywood Fall 2009
Q ジェイ・レノ(トークショー: Jay Leno)をゴールデンタイムに持ってきたことについて
– その枠の視聴率が下がる、NBCのゴールデンタイムを破壊するなど批判があるのは承知している。
– 現状、広告、視聴率とも予想より成功している。
– ジェイ・レノの後に放送するローカル系列局のニュース視聴率もあがっている。
– 他ネットワーク局の視聴率は低下している。CBSは10%。ABC11%。
– 「ジェイ・レノ・10PM・カミング」というメッセージだけを伝えた
- (注) ジェイ・レノ・ショウの30秒スポットの販売価格は、大体50,000-60,000ドル。水曜同時間帯(22時-)のCBS、’CSI: New York’は、127,941ドル。最も高いテレビ広告枠は、NBC ‘Sunday Night Football'(日曜20時-)の339,700ドル。Advertising Age, 2009.10.26, p.8, ‘Sunday Night Football’ remains costliest TV show より。
Q テレビ広告市場の現状について
– 今年のスキャッター市場はうまく広告枠が売れた。(Scatter Market: 5月に行われるUpFrontで売れ残った広告枠を売ること)
– テレビの地位は下がっているが、広告クライアントにとって、マスにリーチできる手段はテレビしかない
– テレビ視聴率を下げているのは、インターネットストリーミングではなく、DVRだ。
– 今シーズン既に放送した「HEROES」2回分は、視聴者の30%がタイムシフトで見ていた。
– 我々は、タイムシフトに対しなにもできない。
– 新たな視聴測定の方法である「CIMM」を立ち上げた
Q タイム広告は増えているか?
– サタデー・ナイト・ライブは、バドワイザーの1社提供。
– 1社提供なので、番組中オンエアされる広告枠が減り、視聴者に支持されている
Q テレビ広告は15%縮小するといわれている。デジタル広告はこの落ち込みを埋めることができるか?
– できない。ドラマのクリエイターたちは、ドラマを作ることだけに集中していて、そのあとドラマを流行させるようなことはしない
– iTunes、海外市場・・・コンテンツをマネタイズする方法はいくらでもある。
– アップフロントで60-70%の枠を売ってしまう
Q 車メーカーは?GMはもうマス広告に帰ってこない?
– GMは戻ってくると思うけど。。ローカル市場がまだいまいち。
Q 昔、NBCは視聴率第1位だった。今は4位。どーしたら、NBCは復活できるか?
– 軸になる人気ドラマが必要だ。JJエイブラムスなど、人気クリエイターにドラマを制作してもらっている。
– 視聴率復活のプロジェクトを立ちあげている。
Q CGM、ソーシャルメディアは、テレビにどのような影響を与えるのか?
– 直接、番組のフィードバックをもらえることが素晴らしい。
– 我々は、クリエイティブな才能を持った人たちとコラボレートできるようにしている。
Q Huluは、テレビ局視聴者を食い合うか?それとも補充するか?
– カニバリゼーションはない。
– ドラマ「オフィス」をiTunesで販売している。PCで見れば、次に居間のテレビで見たくなる
– Huluは、ディスティネーションサイト、映像のポータルサイトを狙っている
– Huluでグレイズアナトミーと入力すると、ABC.comへ飛ぶ。(ディズニーがHuluに出資する前)
– 視聴者は、ABCかHuluかどうかとかどーでもいい。好きなドラマが見れればいい。
- デジタルペニーはデジタルダラーになる
- 早送りもできる。いつでも、どこでも見れるし、広告も少ない。
Q テレビの将来はどうなるか
- 消費者には、DVR、Hulu、ツイター、ブロギング、選択肢がたくさんある
- デフォルトで何かを必ず見ることはない
- 少ないヒット作と多量のダメ作に両極化
- ヒット作は、色々なプットフォームに配信され、お金を稼ぐ
- マストウォッチショウではないドラマは、シンジケーションしても広告収入が稼げない
- ドラマ制作は、とてもハイ・リスクなビジネスになっている
★参考