ゲナコウスキーFCC委員長 CES2011

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■ ゲナコウスキー(Genakowski ジェナコウスキー )委員長の講演

■ 周波数のアンリーシュ(Unleash)は、FCCの2011年度のトップアジェンダ

–  米国にイノベーションを興し、雇用を増やすには、もっと周波数を効率的に利用する必要がある。
–  周波数は、イノベーションの酸素のようなものだ。
–  我々は、モバイルブロードバンドイノベーションの勃興期におり、いまのまま周波数割り当てを放置していると、すぐにユーザーニーズと合わなくなり、ビジネス投資も行われず、米国の競争力の低下につながる。

■ New Apps Economyが成長している

–  2009年モバイルアプリのダウンロード数は、3億回だったが、2010年は50億回に急増した。
–  アプリ制作ベンチャー企業がたくさん生まれ、投資も増えている。eBayのiPhoneアプリは、12万回もダウンロードされている。
–  eBayの2010年度スマートフォンでの売上は15億ドル。
–  周波数について知らなくても、多くの人は、ケータイが途中で切れたり、遅いWifiは経験している。
–  モバイルブロードバンドへの重要は限度が無いが、周波数は限られている。
–  この5年で、モバイルブロードバンド利用は、35倍に増えると予想されている。
–  FCCは、アップル、シスコ、ベライゾンなど様々なIT企業から、周波数割り当てに関して要望書を貰っている。

■ モバイルブロードバンドへの周波数政策を整備しないと米国は世界市場で乗り遅れる

–  世界各国は、モバイルブロードバンド普及に熱心に取り組んでいる。現状に留まっていては、米国は競争力を失う。あるアジアの国は、2014年までに4Gデバイスを米国よりも増やす計画を持っている。
–  米国は地デジ移行を世界に先駆け完了し、4G移行も先行している。
–  いまの周波数政策は、時代に合っていない。
–  不要は規制を撤廃した結果、WCS利用の25MHz分、モバイル衛星利用90MHz分をブロードバンドに利用できるようになった。
–  ナショナル・ブロードバンドプランの実現にあたり、4つポイント。
  1) いまよりもっと多くの周波数をブロードバンド利用に。500MHz分の周波数を2020年までに再割り当て
  2) 効率的な周波数利用を促進
  3) 消費者と起業家にモバイルブロードバンド利用を促進。デジタルリテラシーの向上、競争の導入、透明性
  4) モバイルブロードバンドにおける様々な障壁を取り払う
–  放送局は割当てられた周波数を効率的に利用している放送局もそうでない放送局も、周波数はもっと他の目的で利用されるべきである。

■ シャピロCEA会長との対談

–  ナショナルブロードバンドプランは、自分たちがいいと思った策を入れている。すぐ実現するとは思わない。実現プロセスを踏むことは大切だ。まずは、オークション実施の時期を設定すれば、周波数に対する考えが自由になる。時期が遅れれば遅れるほど、アメリカは周波数を効率的に使えない逆のコストを負担することになる。

–  コミュニケーションに関わる領域は非常に広い。エンターテイメント、遠隔医療、エネルギー、ヘルスケアなど。それらがグローバルで競争力を持つためには、強力な有線、無線双方のデジタルインフラストラクチャを構築する必要がある。それが、我々の21世紀のミッションだ。

–  議会が法案を通せば、そのあと我々は迅速に動く。

–  2サイドオークション。まずは、周波数を自由化し、放送として利用している周波数をブロードバンドに使えるようにする。これで、放送局も周波数を市場でシェアし、割り当てられている周波数で効率的に利用できる。2ステップめは、オークションの方法を透明性を持って策定する。

Shapiro Syncbakという会社がある。CEAとNABが出資をしている。放送局が周波数をローカル向けにインターネットとして利用できるようにする会社だ。シルバースペクトラム。

–  20世紀には、6MHz分の周波数をローカル放送局に割り当てビジネスを構築したモデルは、他のどの国よりも大成功した。放送業界、コンテンツ業界は世界的に競争力があって、アメリカの重要な輸出産業だ。

–  しかし、イノベーターのジレンマが起きていて、20世紀に成功した分野が、我々が21世紀に合った施策を行おうとしているときに、必ずしも協力的ではない。市場には、破壊的イノベーション力を持つ技術が溢れている。経済発展のためにそれをうまく利用しない手はない。シンプルに周波数にも市場原理を導入したらどうか。市場に周波数のいちばん効率的な利用法はなにか、決めさせてはどうか。

–  ユニバーサル・サービス・ファンドのリフォームも課題のひとつだ。これももうひとつのイノベーターのジレンマ。20世紀、アメリカは他のどの国よりも優れた電話システムを持っていた。ユニバーサル・サービス・ファンドの目的は今も価値がある。しかし、ユニバーサル・サービス・ファンドは、電話の普及だけを目的にしている。21世紀はそれをブロードバンドの普及に変えるべきだ。

–  アメリカのパソコンを持っていない。デジタルテレビはかなり普及している。ならば、デジタルデバイスにサービス、コンテンツを提供するプラットフォームを強化すればいいだろう。今年のCESは、去年よりインターネット接続のテレビが大量に展示されている。FCCは、ケーブルテレビのケーブルカードに競争原理を持ち込んだ。STB、デジタルテレビに大量にイノベーションを起こすべきだ。

–  大統領とも協力しながら、議会でこの法案が通るように努力したい。よくある障壁として、テクノロジーが先に進み、消費者がサービスを使いたいのに、規制のせいでアクセスできないということがある。立法や行政のほうが新たなサービスへの対応に遅れがちだからだ。しかし、この法案は、新たなテクノロジーとイノベーションに先取りし、ユーザーがアクセスできないストレスを感じさせないだろう。我々は、家電業界、消費者団体などいろいろな人たちと議論しながら、時代を先取りした施策をしていきたい。その施策をしないと負のコスト負担することになるという議論のほうが、イノベーターのジレンマ議論よりもやりやすい。

2011年1月7日 13時30分 CES2011 ラスベガス、ネバダ

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